— 警備のプロが教える、日常に潜むサイン

詐欺は“非日常”ではない

「詐欺」と聞くと、「自分には関係ない」「どこか遠い世界の話」のように感じる方もいるかもしれません。
ニュースで報じられる大規模な詐欺事件や、高齢者が被害に遭う“オレオレ詐欺”
そうした“非日常”は近年、とても近い存在になりつつあります。

詐欺は、特定な人だけが狙われるものではありません。
むしろ、日常の中に巧妙に入り込み、誰もが被害者になり得る時代です。
そしてその手口は、年々進化し、私たちの“当たり前”をすり抜けてきます。

この記事では、警備のプロとしての視点から、日常に潜む詐欺のサインを読み解き、
「何も起きない日常」を守るために、今すぐできることをお伝えします。

参考:警視庁HPより(令和6年3月末時点)

詐欺の手口は“進化”している

かつては「振り込め詐欺」や「還付金詐欺」が主流でした。オレオレ詐欺や還付金詐欺は今もなお、被害が拡大傾向にあります。
しかし今、詐欺の手口はデジタル化し、より巧妙に、より静かに、私たちの生活に入り込んでいます。

1.なりすましSMS・メール

「お荷物のお届けに関するご案内」
「Amazonアカウントに不正アクセスがありました」
一見すると本物そっくりなメッセージが届き、リンクをクリックすると偽サイトへ誘導されます。
そこでIDやパスワードを入力してしまうと、情報が盗まれてしまうのです。

2.サポート詐欺

突然、パソコン画面に「ウイルスに感染しました」「至急サポートに連絡してください」といった警告が表示される。
慌てて電話をかけると、偽のサポートセンターにつながり、遠隔操作や金銭の要求をされる。
こうした“サポート詐欺”は、特に高齢者やITに不慣れな人が狙われやすい手口です。

3.経営者を名乗る“なりすましメール”

最近では、企業の経理担当者を狙った詐欺も増えています。
たとえば、経営者を名乗る人物から「至急、取引先への送金を」と指示するメールが届く。
差出人名や文面は本物そっくりで、焦らせるような言葉が並びます。
これは「ビジネスメール詐欺(BEC)」と呼ばれ、国内外で深刻な被害が相次いでいます。

日常に潜む“違和感”の見つけ方

詐欺の怖さは、その“自然さ”にあります。
だからこそ、私たち警備のプロは、日常の中にある“違和感”に敏感であろうとしています。
ここでは、街中・職場・家庭という3つのシーンに分けて、注意すべきサインをご紹介します。

【街中で:見慣れた風景の中にある“異物”】

・ATMで電話しながら操作している人

・「点検です」と言って入ろうとする業者(制服なし、事前連絡なし)

・同じ場所を何度も往復する不審な人物

・エレベーターの前で、誰かを待つように立ち尽くす人影

こうした光景は、一見すると日常の一部に見えるかもしれません。
しかし、私たちはそこに“違和感”を覚えます。

【職場で:メール1通が、会社の信用を揺るがす】

企業を狙った詐欺も、年々巧妙さを増しています。
特に近年目立つのが、経営者を名乗った“なりすましメール”による詐欺です。

「至急、取引先への送金をお願いします。詳細は添付ファイルを確認してください」
— 送信者:経営者の名前

このようなメールは、ビジネスメール詐欺(BEC)と呼ばれ、世界中で被害が拡大しています。
巧妙に偽装されたメールアドレスや、過去のやり取りを模倣した文面により、受信者は“本物”だと信じてしまいがちです。

【家庭で:安心なはずの場所にも、詐欺は忍び寄る】

・宅配業者を装った訪問
偽の不在票をポストに入れ、記載された番号に電話をかけさせて個人情報を抜き取る手口。
あるいは、宅配業者を装って玄関先に現れ、ドアを開けた瞬間に押し入る強盗事件も報告されています。

・電話での“還付金詐欺”
「医療費の還付金があります。手続きのためにATMへ行ってください」
このような電話は、特に高齢者を狙った詐欺の典型です。
“お金が戻ってくる”という言葉に安心し、指示通りにATMを操作してしまうと、知らぬ間に送金してしまうことになります。

・ネット利用の落とし穴
SNSで知り合った“親切な人”からの投資話

子どもがゲーム内で知り合った相手からのギフト要求

家族の誰かが不用意にクリックしたリンクからの情報流出

家庭内での防犯は、家族全員の意識共有がカギになります。
「知らない番号には出ない」「不審なメールは開かない」「宅配はインターホン越しに確認する」——
こうした小さなルールが、大きな被害を防ぐのです。

警備のプロが実践する“未然に防ぐ”技術

私たち警備スタッフの仕事は、事件が起きてから動くのではなく、事件が起きないようにすることです。
そのために、日々の現場で実践している“未然に防ぐ技術”をご紹介します。

①観察力:「いつもと違う」空気の変化に気づく

②声かけの技術:「こんにちは」の一言が抑止力になる

③巡回ルートの工夫:死角をつくらない動線設計

④チームでの情報共有:小さな違和感を見逃さない

詐欺は、もはや“特別な誰か”だけが狙われるものではありません。
日常の中に巧妙に入り込み、私たちの油断や習慣の隙を突いてきます。

だからこそ大切なのは、「自分は大丈夫」と思わず、
小さな違和感に気づく力を持つこと。
そして、家族や職場と情報を共有し、備えることです。

警備のプロが実践しているように、
「いつもと違う」を見逃さず、
「こんにちは」の一言を大切にし、
「確認する」ことを習慣にする——
そんな日々の積み重ねが、詐欺を未然に防ぐ力になります。

“何も起きない日常”こそが、最も守るべき価値あるもの。
そのために、今日からできる一歩を、あなたの暮らしの中に。

記事をシェアする

この投稿を担当したのは・・・

上村 将弘(うえむら まさひろ)

警備業務15年の経験を持つと共に、防犯防災のノウハウを熟知してる安全安心のスペシャリスト。 現在は、ソリューション営業部で大規模小売店舗やオフィスビルなどの安全安心を「人・IT」を総合的にコーディネートし、お客さまのニーズに沿ったご提案を推進しています。