食品ロス削減〜現状・原因・対策・食品ロスがもたらす未来について〜

「食品ロス」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。
なんとなく「もったいない」というイメージのある食品ロスですが、なぜ起こってしまうのでしょうか。
また、食品ロスは未来にどのような影響を与え、どうすれば削減できるのか、詳しく理解している方は少ないかもしれません。
この記事では食品ロス削減に取り組む当社が、食品ロスの現状や原因、対策などについて詳しくお伝えしていきます。

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1.食品ロスとは

そもそも「食品ロス」とは一体何なのでしょうか。
まずは食品ロスについてしっかりと理解しておきましょう。

1-1.食べられるのに廃棄される食品のこと

食品ロスとは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のことです。
ただし、食べられない部分(魚の骨、果物の種など)は食品ロスに含まれません。
主に、食べ残しや消費期限切れで手付かずのまま捨てられてしまうもの、スーパーやコンビニなどで賞味期限が迫り廃棄されてしまうものなどが挙げられます。
近年、食品ロスの問題は深刻化しており、家庭・企業・社会全体に大きな影響を及ぼしています。
しかし、食品ロスを身近な問題として捉えている人はまだまだ少ないのが現状です。
食品ロスを放置するとどうなってしまうのか、何年後か、何十年後かに起こりうる事態も想像しながら、一人ひとりが対策していくことが求められています。

1-2.食品廃棄物と食品ロスの違い

食品ロスと似た言葉に「食品廃棄物」があります。
食品廃棄物は食べられない部分の廃棄も含まれるため、食品ロスよりも広い意味で使用されるのです。
例えば、みかんの中身を捨てると食品ロスになりますが、みかんの皮を捨てると食品廃棄物となります。
日本国内では年間523万トン(2021年度)が食品ロスとして捨てられており、1人あたり年間42kg分の食品を捨てていることになります。
食品ロスは「もったいない」という日本の美しい文化に反するだけでなく、最近では社会問題、環境問題にも発展しているのです。

1-3.食品ロスとSDGsの関係

SDGsとは持続可能な開発目標のことを指します。
具体的には、2015年に国連で定められた「17の目標・169のターゲット」からなる、世界共通の目標のことです。
世界中のさまざまな課題を解決することで、誰一人取り残さない世界を目指しています。
2030年までに各目標やターゲットを達成するために各国が取り組んでおり、その中に食品ロスに関わる目標も含まれているのです。

<目標2:飢餓|飢餓をゼロに>
全世界でおよそ8億人が飢えに苦しんでいると言われています。
対して、年間約13億トンもの食品が捨てられている現実があるのです。
食品ロスの削減は、十分に食料を得られていない人への供給を増やすことに繋がります。

<目標12:生産・消費|つくる責任・つかう責任>
目標12では、2030年までにお店や消費者によって捨てられる食料(一人あたり)を半減させることを掲げています。

<目標13:気候変動|気候変動に具体的な対策を>
食品の生産から廃棄までに、全世界の温室効果ガスの約8%を占める二酸化炭素(CO2)が排出されるといわれています。
食品ロスを減らすことはCO2削減に繋がり、結果として気候変動への有効な対策になるのです。

2.食品ロスの現状と問題点

食品ロスが大きな問題となっていますが、実際には何が起こっているのでしょうか。
食品ロスの現状と問題点について、具体的な数字とともにお伝えいたします。

2-1.日本では毎日「おにぎり1個」が捨てられている

食品ロスが注目されていますが、実際どのくらいの量が捨てられているかわかりにくいものです。
数字で表されることが多いですが、大きすぎて逆にイメージがつきにくいかもしれません。
日本では年間523万トン(2021年度)の食品が廃棄されており、一人あたり毎日おにぎり1個が捨てられている計算になります。
今、目の前にあるおにぎりを、食べずに捨てているのです。
4人家族だったらおにぎり4個を捨てることになります。
そう考えると、食品ロスが身近な問題に感じられるのではないでしょうか。

2-2.世界では生産された食料の3分の1が廃棄されている

世界では毎年40億トンの食料が生産されています。
そのうち、なんと3分の1にあたる約13億トンが廃棄されているのです。
これは世界の2億人分の食料にあたります。 世界には満足に食事ができない人がたくさんいる一方、食べられるのに捨てられる食料が大量にあるのです。

2-3.全人口の10人に1人が食べるものに困っている

世界の食料のおよそ3分の1が捨てられています。
では、食べるものに困っている人は何人いるのでしょうか。
その答えは、全人口の約10人に1人となる「7.7億人」です。
食べ物を必要としている人がいるのに、毎年約13億トン(2億人分の食料)が捨てられています。
国連によると、2050年には世界の人口は今より20億人多い約97億人になるといわれています。
食品ロスが改善されず、このまま食品ロスが増え続けると、さらに多くの人が空腹や栄養不足で苦しんでしまうのです。

2-4.食品ロスがもたらす経済・環境・食糧問題への影響

食品ロスは食糧を無駄にするという単純な問題ではありません。
実はさまざまな問題につながっているのです。

<経済への影響>
食品が廃棄されるということは、食品が販売されるまでにかかった投資が無駄になるということです。
例えば、食品の製造から消費者に届くまでには下記のコストがかかります。
・製造コスト
・物流コスト
・人件費
・燃料代

これらのコストが全て無駄になってしまうのです。
また、日本総研の調査※によると、食品ロスを削減することによる経済効果は4.7兆円にのぼるといわれています。
※日本総研|食品ロス削減でインフレの悪影響軽減を

<環境への影響>
食品の運送から廃棄に至るまでに、二酸化炭素が大量に排出されます。
また、生ゴミは水分を多く含むため焼却に時間がかかり、その分二酸化炭素の排出量も増えてしまうのです。
さらに、廃棄された食品の埋め立てによって、二酸化炭素の約25倍の温室効果を持つメタンガスが排出されます。
食品ロスが増えることで、地球温暖化も進んでしまうのです。

<食糧問題への影響>
食品ロスが増える一方、世界中には飢えで苦しむ人が約8億人います。
また、世界の人口は増加すると予測されており、食品ロスが増え続けると飢えに苦しむ人がさらに増えてしまうのです。
食品ロスは飢餓や栄養不足など、世界の食糧問題にも影響しています。

3.食品ロスが発生する原因とは

食品ロスは飲食店や家庭での食べ残しのイメージを持つ方が多いですが、実際にはいつ・どうして発生しているのでしょうか。
ここでは食品ロスが発生する原因についてみていきましょう。

3-1.食品ロスが起こる5つのタイミング

食品ロスが起こるのは、飲食店や家庭での食べ残しだけではありません。

実は食品ロスは5つのタイミングで起こるのです。

<生産>
野菜を作る農家では、形の悪いもの、小さすぎるもの、キズがついているものは規格外となり、お店に並べることができません。
規格外の野菜を販売できるところもありますが、捨てられてしまうことも多いです。
食べられるのに、見た目が悪いからという理由で販売自体されず、廃棄されてしまいます。

<製造>
肉・野菜・魚などの食品を加工する製造工場でも食品ロスが発生します。
例えば、商品の作りすぎ・型崩れなど商品の問題だけでなく、パッケージの印字ミスなども商品が販売されずに廃棄される原因になります。

<配送>
製造工場からスーパーなどの商品を販売するお店に配送するとき、パッケージにキズがつくことがあります。
例えば、箱が潰れたり、ラベルが剥がれたりなどさまざまです。
商品の中身には問題がないのに、パッケージが傷つくと売れなくなるため、廃棄になってしまいます。

<販売>

スーパーなどで売れ残った商品は廃棄されてしまいます。
賞味期限の長いものはしばらく販売できますが、お惣菜や焼き立てパンなどはその日中に処分が必要です。
また、レストランなどの飲食店では、お客さんの食べ残しが捨てられています。

<消費>
家庭で起こる食品ロスは食べ残しだけではありません。 食品を買いすぎたことで使いきれず、賞味期限や消費期限が切れて捨ててしまったり、料理を作りすぎて食べ切れなくて捨ててしまったりと、さまざまな理由があります。

3-2.食品ロスの半分は家庭から発生する

食品ロスは主に家から出るものと、工場・小売店・レストランなどで出るものの2パターンあります。
家から出るゴミを「家庭系」、工場・小売店・レストランから出るものを「事業系」と呼び、それぞれ廃棄する理由が異なるのです。

<家庭系>
食べ切れなかった、食べるのを忘れていた、賞味期限・消費期限を過ぎていた

<事業系>
安心・安全な食品を届けるため
家庭で生じる食品ロスの理由としては「賞味期限・消費期限内に食べ切れなかった」という回答が最も多く、次いで「買ったことを忘れていた」という回答が多いです。
古い食材の存在を忘れて新しい食材を買ってくることで、結果として古い食材を捨てていることもあるでしょう。
また、買い過ぎも食品ロスの原因になっており、お惣菜や生鮮食品など長期間保存できないものを買い過ぎてしまい、食べ切れずに廃棄したというケースもあります。

3-3.食品ロスの3つの要因

食品ロスの原因は、大きく「直接廃棄」「食べ残し」「過剰除去」の3つに分られます。

<直接廃棄:調理されないまま廃棄>
直接廃棄とは、買い過ぎや長持ちしない保存方法が原因で、食べることなく食品を捨ててしまうことです。

<食べ残し:食べられずに廃棄>
作り過ぎや好き嫌いによって食べ残しが生じ、食品が捨てられています。

<過剰除去:食べられるのに廃棄>
過剰除去とは、野菜の皮を分厚くむく等、本来食べられる部分も捨ててしまうことを指します。
皮についた農薬を過度に気にして皮を厚くむくなど、健康志向が影響している場合もあります。

4.今日からできる!食品ロス対策

食品ロスがさまざまな問題を引き起こすことがわかりました。
では、具体的にどうすれば食品ロスを減らすことができるのでしょうか。
ここでは、今日からできる食品ロス対策についてお伝えします。

4-1.【買い物】食べ切れる分だけ買う

食品ロスを減らすために、最も簡単な方法は「食べ切れる分だけ買う」ことです。
食べ切れる分だけ購入すれば、賞味期限や消費期限が切れることもなく、食べ切れずに食品を捨てることはないでしょう。
必要なときに必要な分だけ買う方が、結果的に食品ロスが少なくなるため節約にも繋がります。
足りないと困ると思い、つい多めに買ってしまうことはありますが、まずは「足りないものを足りない分だけ」買い足すことを意識しましょう。 一度の買い物で購入する商品の数が減ることで、管理がしやすくなり食品を無駄にすることも減ります。

4-2.【買い物】食材をチェックしてから買い物へ

買い物に行く前には、必ず冷蔵庫や食品庫の食材をチェックしましょう。
今ある食材の確認をしておかないと、同じ食材を買い食品を余らせてしまう可能性があるためです。
自宅にある食材を覚えておく自信がない場合は、買い物の直前にスマホや携帯電話のカメラで冷蔵庫や食品庫の中を撮影しておくと良いでしょう。

4-3.【買い物】賞味期限と消費期限を理解する

買い物をするときに、ほとんどの方は期限を確認するでしょう。
しかし、賞味期限と消費期限の違いをしっかりと理解できていない方は意外と少ないのです。
賞味期限と消費期限の違いを知ることで、食品ロスを防ぐことに繋がります。
※賞味期限・消費期限は、どちらも未開封で食品に記載されている通り(「要冷蔵」「要冷凍」「直射日光を避けて保存」など)に保存した場合の期限です。一度開封した食品は期限に関係なく早めに食べ切ってください。

<賞味期限>
おいしく食べられる期限。
表示されている保存方法で保存していれば、期限切れになってもすぐに食べられないわけではありません。
カップ麺・お菓子・ハム・ソーセージ・漬物・調味料などには賞味期限が記載されています。
「賞味期限を過ぎても食べることができる」ということを知ってもらうための活動として、消費者庁が賞味期限の愛称を「おいしいめやす」と定め普及活動を行っています。

<消費期限>
過ぎたら食べないほうが良い期限。
期限内に食べ切る必要があるため、消費期限が記載されている食品は早めに食べるほうが安心です。
コンビニ弁当・お惣菜・豆腐・ケーキ(生菓子)など、いたみやすい食品に記載されています。
購入当日〜数日程度と短いのが消費期限の特徴のため、購入したらなるべく早く食べ切りましょう。

4-4.【買い物】安売り・まとめ売りには要注意

スーパーに行くと、賞味期限が近い食品や入れ替え商品などが安く売られていることがあります。
お得に感じるかもしれませんが、普段食べない食材を買ってしまうと、結局食べずに捨ててしまう可能性があります。
安売りだからといって深く考えずに購入すると、お金を無駄にしてしまい、さらにゴミも増やすことになるため注意が必要です。 また、大容量パックは確かにコスパの良い商品ですが、最後まで食べ切れずに捨ててしまうこともあるため、目先の安さよりも食べ切れる量か考えて購入するほうが良いでしょう

4-5.【買い物】手前の品物から手に取る

お買い物をするときに、できるだけ期限の長いものを選びたいと思うかもしれませんが、すぐ使う食品であれば、食品棚の手前にある期限の短いものを選びましょう。
なぜなら、スーパーでは期限が短かったり切れたりすると、お店からメーカーへ返品したり、廃棄したりするためです。
家庭での食品ロスは増えませんが、お店での食品ロスが増えてしまいます。 自分にとってもお店にとっても正解といえる「手前取り」を心がけましょう。

4-6.【買い物】規格外の食材を購入する

食品ロスの中には、形が悪かったりキズがあったりして、そもそもお店にも並ばない食材があります。
このような「規格外」の食材が、道の駅や直売所で売られていることがあり、他の商品よりも安いことがほとんどです。
規格外の食品には、野菜だけでなく魚なども含まれます。
水揚げされても市場に流通しない魚もあり、ネットスーパーなどで購入が可能です。
家族で食べる人や形は気にならないという人は、規格外の食品を積極的に活用しましょう。
節約にもなってお得です。
ただし、割安ですが大量に買ってしまうと食べ切れない可能性があるため、食べられる分を無理なく購入してください。

4-7.【買い物】すぐ食べるなら値引き商品を選ぶのも◎

夕方ごろにスーパーに行くと、お惣菜などが値引きされていることがあります。
お惣菜などは消費期限が当日の夜に設定されていることも多いため、購入したらすぐに食べる必要があるのです。
「今日の夜ご飯のおかずにする」など、いつ食べるか明確であれば、値引きされた商品を選ぶのも良いでしょう。
節約にもなり、スーパーなど小売店での食品廃棄も減らすことができます。

4-8.【調理・保存】食べ切れる量を作る

家族の人数に合わせて食事の用意をされると思いますが、いつもと同じ量でも余ってしまうことがあります。
可能であれば家族の体調・お腹のすき具合・その日の予定などを確認し、食べ切れる量を作りましょう。
体調の悪い家族がいる場合は、いつもより食べられる量が少ないかもしれません。
また、いつもの食事よりもうどんやおかゆが良い場合もあります。

4-9.【調理・保存】冷凍など保存術を活用

食材を無駄なく使い切るためには、それぞれの食材にあった保存方法を知っておくと良いでしょう。
特に「冷凍保存」は食材を使い切るために覚えておきたい保存術といえます。
肉・野菜・きのこなどは冷凍保存ができますが、その中でもきのこは冷凍することで旨みが増すのでおすすめです。
肉は大容量パックを買い、一食分ずつ分けて冷凍すると良いでしょう。
下味をつけておけば、食べたいときに加熱するだけで一品できるので忙しい方にピッタリです。
また、食べ切れなかった料理も冷凍することで好きなときに食べられます。
食材によって適切な冷凍方法は異なるため、気になるものはインターネットで検索してみると良いでしょう。
なお、冷凍に向かない食材もあるため注意が必要です。(こんにゃく、ジャガイモなど)
冷凍保存する際は、日付と食材名を買いておくと忘れずに使い切れます。

4-10.【調理・保存】野菜は外葉や皮も食べ切る

魚や野菜は新鮮なうちに余すところなく食べ切りましょう。
魚によっては皮も骨も食べることができます。
また、大根や人参の皮、ブロッコリーの茎やキャベツの芯・外葉なども、新鮮なうちに調理すればおいしく食べられます。

4-11.【調理・保存】余ったおかずはリメイク料理に

毎日料理をする暇がないという方は、一度に大量の料理を作り置きしておくこともあるでしょう。
例えば、煮物などを大量に作り、何日にも分けて食べる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、連日同じメニューだと飽きてしまい、食事自体が楽しくなくなってしまいます。
そんなときは、リメイク料理を作ってみると良いでしょう。
煮物はカレー、そうめんはお好み焼き、ポテトサラダはコロッケなど、アイデア次第でさまざまな料理に生まれ変わります。
リメイク料理はレシピ本やインターネットで検索すると出てくるので、作りやすそうなものを探してみましょう。

4-12.【調理・保存】ローリングストックを実践

ローリングストックとは、普段から使っている食品や日用品を多めに買い、古いものから使って消費した分を買い足す方法です。
常に一定量の新しいストックがあるため、災害が起こったときにも安心して過ごせます。
毎日買い物をして新しい食材を買う方もいらっしゃるかもしれませんが、たまには買い物をせず、余った食材と賞味期限の長いツナ缶・高野豆腐・ひじきなどを組み合わせて料理をしてみると良いでしょう。
賞味期限切れを防ぎ、いざというときの備蓄もできるのがポイントです。
また、レトルトのカレーやカップ麺なども、備蓄用としてだけではなく、日々の食事にうまく活用することで食品ロスの削減に繋がります。

4-13.【調理・保存】期限が近いものは冷蔵庫の手前に

「買ったのに食べ忘れていた」というのは、家庭での食品ロスの理由として大変多いです。
冷蔵庫を見やすく整理することは、食品を有効活用し食品ロスを防ぐために役立ちます。

・冷蔵庫の中身を書き出す
・冷蔵庫収納を活用する+ラベルを貼る
・保存容器は透明で中身の見えるものを使う
・期限の近いものは冷蔵庫の手前に置く

上記のような方法で食品ロスを減らしましょう。
自分に合った方法を見つけることで、継続して取り組むことができます。

4-14.【外食】食べられる分だけ頼む

外食時に食べ切れずに残してしまうこともあるでしょう。
もともと食べ切れる量を頼むことができれば、食べ残しは発生しません。
ご飯の量を減らしたり、「少なめ」「ハーフ」などのメニューを選んだりすると良いでしょう。
お店によっては量を選べないところもありますが、店員さんに伝えれば料金は同じでも量を減らしてくれることもあるので、食べ切れなさそうと感じたら確認してみてください。
「料金が変わらないなら通常量を頼みたい」という気持ちも分かりますが、食べ切れずに残したり、食べすぎて体調が悪くなったりすることもあるため、自分が食べられる適切な量を注文するようにしましょう。

4-15.【外食】ドギーバッグをお願いする

外食時に食べ切れなかった料理を持ち帰るバッグを「ドギーバッグ」といいます。
海外では一般的ですが、日本では食品衛生の観点から持ち帰りNGのことも多かったのです。
しかし、最近では食品ロス削減のためにドギーバッグが可能なお店が増えてきました。
ドギーバッグという名前ですが、実際には使い捨てのパック容器に料理を入れてもらうイメージです。
食べ切れる量を頼むのが基本ですが、どうしても食べ切れない場合は、残った料理を持ち帰れないか聞いてみると良いでしょう。
対応していないお店もあるかもしれませんが、まずはお店の方に相談してみてください。

4-16.【外食】飲み会では30・10運動を実践

「残さず食べよう!30・10(さんまる・いちまる)運動」とは、宴会・飲み会で実践したいスローガンのことで、長野県松本市が提唱して全国に広がりました。
乾杯後30分:席を立たずに料理を楽しむ

〜自由時間〜
お開き前10分:席に戻って料理を食べ切る
宴会や飲み会はお酒をついで回ったり、お喋りに夢中になったりして、食事をほとんど取れないということも多いでしょう。
しかし、大人数の飲み会で食事が残ってしまうと、大量の食品ロスが出てしまいます。
宴会や飲み会では30・10運動を意識し、お喋りだけでなくおいしい料理も楽しむようにしましょう。
周りの参加者にも声をかけて、みんなで実践することが大切です。

4-17.【外食】食品ロス削減に積極的なお店を選ぶ

飲食店の中には、食品ロス削減に積極的なお店があります。
例えば、料理の量を選べるお店は、食べ残しを減らすことができます。
また、ドギーバッグ対応のお店(食べ切れない料理を持ち帰れるお店)も食品ロス対策がされているといえるでしょう。
お店選びの際は、食品ロスへの取り組みについてもチェックしてみてください。

5.国や企業が行う食品ロス削減の取り組み

家庭でできる食品ロス対策についてお伝えしましたが、国や企業でも食品ロス対策は活発に行われています。
ここでは、国や企業の食品ロス削減に対する取り組み例をご紹介いたします。

5-1.フードドライブ

フードドライブは、家庭で余った食品を集め、必要な団体・施設・フードバンクなどに寄付する活動のことをいいます。
食品ロスを減らすだけでなく、生活が苦しく食べる物に困っている世帯などを支援できるため、今注目を集めている活動です。
特別な場所がなくても、企業・公共施設・学校・イベント会場など、人が集まるのであればどこでもできます。
定期的な実施だけでなく、イベントに合わせた単発の開催など、実施する人が比較的自由に開催できるため、すでに多くの企業や全国の自治体が取り組んでいます。

5-2.30・10(さんまる・いちまる)運動

「残さず食べよう!30・10(さんまる・いちまる)運動」は、長野県松本市が提唱した宴会での食品ロス削減に取り組むキャンペーンです。
乾杯後30分は食事を楽しみ、お開き前10分は食事を食べ切る、という取り組みで、現在では県内外に広まっています。
他にも、宴会の心得として下記が紹介されています。

<予約時>
・お店に宴会の予約をする時は、参加者の年齢や宴会の趣旨等を伝えましょう。

<当日>
・宴会開始時に、幹事さんは参加者に「残さず食べましょう」と呼び掛けましょう。
・お酌に回る前に、最初の30分はまず自分の席に座り、お料理を楽しみましょう! 
・大皿にちょっとずつ残ったお料理は、食べられる人に勧めましょう。
・最後の10分間も自分の席に戻って、お料理を楽しみましょう!
・お開きになる前に「有るを尽くして、食べ切りましょう。」と呼び掛けましょう。
引用:長野県|残さず食べよう!30・10(さんまる・いちまる)運動

他にも「家庭で実践!残さず食べよう!30・10運動」という活動も提唱されており、家庭での食品ロスを減らすための取り組みも紹介されています。

<毎月30日は冷蔵庫クリーンアップデー>
冷蔵庫の中にある消費期限・賞味期限間近な食材から使い、冷蔵庫をきれいにしましょう。

<毎月10日はもったいないクッキングデー>
今まで捨てていた野菜の皮や茎を使ってエコに料理しましょう。
引用:長野県|残さず食べよう!30・10(さんまる・いちまる)運動

5-3.全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会

全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会は「おいしい食べ物を適量で残さず食べきる運動(「食べきり運動」)」を趣旨とした自治体間のネットワークです。
この趣旨に賛同した都道府県や市町村などにより、全国で広く食べ切り運動が推進されています。
また、食べ切ることで3R(Reduce:ゴミの発生を抑える、Reuse:再使用、Recycle:再資源化)の推進にも繋がり、食品ロスの削減に貢献しています。

6.知っておきたい食品ロスに関するコトバ

食品ロスを調べていると、似たような言葉がたくさん出てきます。
それぞれ違う意味があるため、知っておくと良いでしょう。

6-1.フードロス

日本では「フードロス」と「食品ロス」は同じ意味で使われることが多いですが、国連による定義をみてみると、フードロスと食品ロスは違った意味を持つことがわかります。

<日本>
食品ロス:食べられるのに捨ててしまう食材

<国連の定義>
フードロス:産地での生産・収穫〜店舗に届くまでに起こった廃棄
フードウェイスト:お店や消費の段階で起こる廃棄
日本で使われている「食品ロス」は、フードロスとフードウェイストを合わせたイメージです。

対して、国際的に使用されている「フードロス」「フードウェイスト」は、どの段階で廃棄が発生しているのか、意図的かどうかに着目しているといえるでしょう。

6-2.フードテック

「フードテック」とは「フード(食品)」と「テクノロジー(技術)」を合わせた言葉のことです。
AI・IoT・ロボット工学などの先端技術を活用して、食糧問題に取り組んでいます。
例えば、食品の在庫や賞味期限を効率よく管理したり、廃棄食材を有効活用したり、農作業を自動化したり、家庭の食品をアプリで管理したりなど、さまざまな技術が開発されています。

6-3.フードシェアリング

フードシェアリングとは、廃棄されてしまう食品と購入希望者をマッチングさせる仕組みです。
例えば、飲食店で作られたおいしい料理や賞味期限前に捨てられる食品などを、インターネットやスマートフォンアプリなどで安く購入できます。 売り手は食べられるものを捨てずにすみ、買い手はおいしい料理を安く買えるため、双方にメリットのある仕組みです。

6-4.フードバンク

フードバンクとは、期限前の商品や未利用の食品を企業や団体から集め、必要な人に届ける団体のことです。
小売店や食品メーカーなどは、フードバンク団体に寄付することで食品を廃棄せずにすみ、結果として食品ロスを減らすことができます。
好みに合わなかった、食べ切れずに家にたくさんあるといった、まだ食べられるけれど食べる予定のない食品は、大型スーパーや学園祭、地方公共団体などで寄付の受け付けをしていることがあるため、捨てずに寄付することも検討してみましょう。
寄付できる場所を知りたい方はインターネットで検索してみてください。

6-5.フードドライブ

フードドライブとは、余った食品を必要なところに寄付する活動のことです。
ドライブには「寄付」という意味があります。
フードバンクと混同されがちですが、フードバンクは食品を提供する「団体」、フードドライブは食品を集める「活動」という点が違います。
また、フードバンクは基本的に企業からの食品の寄付を受け付けており、フードドライブは一般家庭からも寄付を受け付けているのが異なるポイントです。

7.アイングが考える食品ロス削減の未来

食品ロスは食料を無駄にしているといった単純な問題ではありません。
経済・環境・世界の食糧問題など、さまざまな問題に発展するのが食品ロスです。
当社は栃木県で自社農場「アイングファーム」を運営しており、定期的に地域の子ども食堂に季節の野菜を提供しております。
子ども食堂への寄付は食品ロスの削減だけでなく、地産地消による輸送エネルギー削減や自然の恵み・豊かさの保全にもつながっています。
食品ロスというと大きな課題のように聞こえますが、実はとても身近な問題です。
一人ひとりの意識が少し変わるだけでも大きな変化があります。

当社は当社ができることを、この記事を読んでくださったあなたはあなた自身ができることを、それぞれ少しずつ行っていけば、今より良い未来が訪れるのではないでしょうか。

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この投稿を担当したのは・・・

若松 虹那(わかまつ にな)

採用活動やCSR取組みを担当。 ビルメンテナンス会社のイメージがあるアイングですが、実はハウスクリーニング(ピカイエ)やコンビニの運営などのBtoC事業も展開しています。そのような、あまり知られていないアイングの隠れた魅力も、SNSやインターンシップなどを通じて、就職活動中の皆さまに発信。 持前の明るさとフットワークで、入社後の若手社員からも頼りになる先輩として慕われています。